書籍紹介『入門!論理学』
野矢 茂樹 著
『入門!論理学』
中公新書 2006年
お役立ち度:★★★★☆
読みやすさ:★★★☆☆
対象者:論理的な人になりたい人
【概要】
「論理」とはどういうものなのか学べる本。
人に伝わる文章を書くには、論理的に書かなければならない。難しい文章を読むにも、論理的なつながりを読み解かなければならない。
作者のユーモアも炸裂していて楽しく読みやすい一冊。
高校生で数学の「ド・モルガンの法則」などが分からなくて困っている人にもおすすめ。
【詳細】
「論理的に考える」「論理的な文章を書く」と言うと、なんだか賢そうです。マンガを描くにも設定を説明するときとかに論理的な文章を書かなければいけない場面があるでしょう。ストーリーを考えるときにも論理的な考え方ができると良さそうです。
しかし、そもそも「論理的」とはどういうことなのでしょうか。
論理的にものを考えたり論理的な文章を書くには、まずは言葉があらわす意味を正しくとらえなければなりません。
例えば「または」という言葉があります。「新都社は会社である。または、新都社はただのウェブサイトである」という風に使います。ではこういう使い方はどうでしょうか。
「新都社は会社である。または、サンマは魚である」
だいぶ頭がおかしい文章ですが、「新都社は会社である」か「サンマは魚である」か、どちらかだと言っています。新都社は会社ではありません。しかし、サンマは魚です。片方は正しいことを言っているので、「新都社は会社である。または、サンマは魚である」という文章は正しいことを言っていることになります。
なんだか納得いきませんが、「新都社は会社である。またはただのウェブサイトである」というのも、片方は間違ってて片方は正しいという構造は同じです。これを認めるのであれば、「またはサンマは魚である」なんていうのも認めなければなりません。
もちろん、私たちは普段「または」という言葉をそのように使ってはいません。「または」の前後の文はある程度の関係性がないといけないという、暗黙の了解があります。しかし、暗黙の了解というのはとてもあいまいなものです。他人とコミュニケーションをとるときに、相手が暗黙の了解を上手く察してくれるとは察してくれるとは限りません。
人に何かを伝える文章を書くときに、暗黙の了解に頼りすぎると危険です。上手く伝わるようにするには、暗黙の了解を除いた言葉の純粋な意味を用いた文章、すなわち「論理的な文章」を書く能力も必要なのです。
まあ、完全に論理的な文章しか書けないというのも問題で、暗黙の了解も上手く使わないといけないですけどね。
そのような事情から、「新都社は会社である。または、サンマは魚である」といった、一見おかしな「または」の使い方を論理学では採用します。他にも「かつ」、「〜ではない」といったいくつかの言葉を、論理学的な立場から定義しなおします。そうすると「または」、「かつ」、「〜ではない」を組み合わせた複雑な文章から、いくつかの法則性を見出すことができます。
その一つとして有名なのが、「ド・モルガンの法則」です。これは
「『または』の文を否定する=否定を『かつ』でつなげる」
「『かつ』の文を否定する=否定を『または』でつなげる」
が成り立つ、という法則です(途中の“=”は左右の文が全く同じことを表しているということを意味します)。
だいぶわけわかんない法則ですが、ド・モルガンの法則を使うと複雑な文を簡単にできます。「太郎か花子の少なくともどちらかは、イグアナかカメレオンを両方飼っている。というのはウソである」という文章があったとしましょう。太郎と花子の、イグアナとカメレオンの飼育状況はどうなっているのか。さっきの文章から分かることはなんなのか。ド・モルガンの法則を使えば読み解きやすくなります。解説を書くと長くなるので、この本の98〜100ページをご覧ください。
ここまでで感じていただけたと思いますが、論理の話なのでややこしい文章が多い本です。読みやすいとまでは言えません。しかし初心者向けにとてもていねいに説明されているので、少し気合いを入れて読めば作者さんの伝えたいことは伝わるはずです。随所にユーモアも散りばめられており、ややこしい文章を読む苦痛はだいぶ和らげられていると思います。
論理とはなんなのかということが分かれば、人に伝わりやすい文章が書けるようになります。また複雑な文章を読み解く手助けにもなります。文章に関する本ということで、理科系の作文技術とも合わせて読んでみてください。
ド・モルガンの法則は高校の数学で習うので、数学が苦手な高校生が読んでもいいかもしれません。数学の時間に習う論理は浅いを部分的にしかやらないので、こういう本でガッツリ勉強した方が根本的な理解はしやすいでしょう。
論理というものに興味を持っていただけなら、ぜひお読みください。
「論理」とはどういうものなのか学べる本。
人に伝わる文章を書くには、論理的に書かなければならない。難しい文章を読むにも、論理的なつながりを読み解かなければならない。
作者のユーモアも炸裂していて楽しく読みやすい一冊。
高校生で数学の「ド・モルガンの法則」などが分からなくて困っている人にもおすすめ。
【詳細】
「論理的に考える」「論理的な文章を書く」と言うと、なんだか賢そうです。マンガを描くにも設定を説明するときとかに論理的な文章を書かなければいけない場面があるでしょう。ストーリーを考えるときにも論理的な考え方ができると良さそうです。
しかし、そもそも「論理的」とはどういうことなのでしょうか。
論理的にものを考えたり論理的な文章を書くには、まずは言葉があらわす意味を正しくとらえなければなりません。
例えば「または」という言葉があります。「新都社は会社である。または、新都社はただのウェブサイトである」という風に使います。ではこういう使い方はどうでしょうか。
「新都社は会社である。または、サンマは魚である」
だいぶ頭がおかしい文章ですが、「新都社は会社である」か「サンマは魚である」か、どちらかだと言っています。新都社は会社ではありません。しかし、サンマは魚です。片方は正しいことを言っているので、「新都社は会社である。または、サンマは魚である」という文章は正しいことを言っていることになります。
なんだか納得いきませんが、「新都社は会社である。またはただのウェブサイトである」というのも、片方は間違ってて片方は正しいという構造は同じです。これを認めるのであれば、「またはサンマは魚である」なんていうのも認めなければなりません。
もちろん、私たちは普段「または」という言葉をそのように使ってはいません。「または」の前後の文はある程度の関係性がないといけないという、暗黙の了解があります。しかし、暗黙の了解というのはとてもあいまいなものです。他人とコミュニケーションをとるときに、相手が暗黙の了解を上手く察してくれるとは察してくれるとは限りません。
人に何かを伝える文章を書くときに、暗黙の了解に頼りすぎると危険です。上手く伝わるようにするには、暗黙の了解を除いた言葉の純粋な意味を用いた文章、すなわち「論理的な文章」を書く能力も必要なのです。
まあ、完全に論理的な文章しか書けないというのも問題で、暗黙の了解も上手く使わないといけないですけどね。
そのような事情から、「新都社は会社である。または、サンマは魚である」といった、一見おかしな「または」の使い方を論理学では採用します。他にも「かつ」、「〜ではない」といったいくつかの言葉を、論理学的な立場から定義しなおします。そうすると「または」、「かつ」、「〜ではない」を組み合わせた複雑な文章から、いくつかの法則性を見出すことができます。
その一つとして有名なのが、「ド・モルガンの法則」です。これは
「『または』の文を否定する=否定を『かつ』でつなげる」
「『かつ』の文を否定する=否定を『または』でつなげる」
が成り立つ、という法則です(途中の“=”は左右の文が全く同じことを表しているということを意味します)。
だいぶわけわかんない法則ですが、ド・モルガンの法則を使うと複雑な文を簡単にできます。「太郎か花子の少なくともどちらかは、イグアナかカメレオンを両方飼っている。というのはウソである」という文章があったとしましょう。太郎と花子の、イグアナとカメレオンの飼育状況はどうなっているのか。さっきの文章から分かることはなんなのか。ド・モルガンの法則を使えば読み解きやすくなります。解説を書くと長くなるので、この本の98〜100ページをご覧ください。
ここまでで感じていただけたと思いますが、論理の話なのでややこしい文章が多い本です。読みやすいとまでは言えません。しかし初心者向けにとてもていねいに説明されているので、少し気合いを入れて読めば作者さんの伝えたいことは伝わるはずです。随所にユーモアも散りばめられており、ややこしい文章を読む苦痛はだいぶ和らげられていると思います。
論理とはなんなのかということが分かれば、人に伝わりやすい文章が書けるようになります。また複雑な文章を読み解く手助けにもなります。文章に関する本ということで、理科系の作文技術とも合わせて読んでみてください。
ド・モルガンの法則は高校の数学で習うので、数学が苦手な高校生が読んでもいいかもしれません。数学の時間に習う論理は浅いを部分的にしかやらないので、こういう本でガッツリ勉強した方が根本的な理解はしやすいでしょう。
論理というものに興味を持っていただけなら、ぜひお読みください。
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