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書籍紹介『理科系の作文技術』



木下 是雄 著
『理科系の作文技術』
中公新書  1981年

お役立ち度:★★★★★
読みやすさ:★☆☆☆☆
対象者:ちゃんとした文章を書けるようになりたい人
【概要】
文章といってもいろいろあるが、「理科系の文章」を書くための本。
国語の作文で書く「遠足に言った思い出」や「読書感想文」ではなく、「事実と意見」を確実に伝わるように書くための文章術。
理科系の文章はマンガの文章とは違う。しかし「短い言葉で誤解のないように伝える」という必要があるのは共通である。
自分の文章を良くするための指標となる本。


【ここがすごい】
文章の書き方って、よく分からないですよね。
そういえば学校で文章の書き方をきちんと習った覚えはありません。作文を書くことはあっても、なんとなく書いて「よくできました」のハンコをもらって終わりだったと思います。
学校教育で書かされる文章って、遠足に行った思い出や読書した感想など、主観的な感情や感想を表現することが求められます。それによって読み手を感動させることを目指している節もあります。でも、人を感動させる文章の書き方なんて、学校の先生であっても教えられるものではないですよね。
人を感動させる文章ってかなりレベルが高いです。その前に「客観的な事実や、自分の意見を正確に伝える文章」を先に書けるようになった方がいいのではないでしょうか。

この本はそうした「事実と意見」を正確に伝える、「理科系の文章」の書き方を指南する本です。
理科系の文章と言えば、科学の論文や、電化製品などについてくる取扱説明書などがあります。「自分がどういう研究をしたか」、「その結果はどうなったか」、「そこから何が言えるか」、あるいは「製品の正しい使い方」、「やってはいけない危険な使い方」を正確に伝えなければなりません。なんとなく伝わればいいなんてもんじゃなく、誤解を与えない文章でなくてはいけません。「僕は研究をがんばりました。とても楽しかったです」なんて書いてる場合じゃありません。

そうした現場のプロレベルの文章を書けるようになるための本です。非常に勉強になります。そのせいで、描いてあることはけっこう難しいです。
「理科系の」とタイトルにあるように、この本は理科系の大学生が読むことを想定して書かれています。そのため例文としてガチガチの実験レポートが出てきます。理科系の人以外には解読不能でしょう。
そのガチガチさが知的な感じで勉強にもなりますが、余計なお世話という人も多いでしょう。そういう方はこの本をマンガにしたものがあるのでそちらをオススメします。書いてあることは原作に比べると少し浅かったりするんですが、それでも得るものはとても大きいです。理科系以外の人はマンガ版を読めば十分でしょう。理科系の学生さんは原作を読みましょう。むしろ読むべき。読みなさい。


マンガでも世界観の説明など、事実を正確に説明する文章を書く必要があります。自分が伝えたいことを誤解なく伝える能力は、人を感動させる文章を書くときにも必要なものでしょう。文章が上手く書けなくて悩んでいる人の助けになってくれる本だと思います。

ところで理科系の文章を書けるようになりたかったらこの本があれば十分なんですが、学校の作文とか小説の文章を書くための教本ってないんですかね?ずっと探しているんですがいい本にめぐり会えていません。オススメがあったらコメントで教えてくださいね。

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