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書籍紹介『みんなのイラスト教室』



中村 佑介 著
『みんなのイラスト教室』
飛鳥新社 2015年

お役立ち度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
対象者:イラスト(一枚絵)が上手くなりたい人
【概要】
作者は有名イラストレーターの中村佑介氏。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットや、『夜は短し歩けよ乙女』、『謎解きはディナーのあとで』といった小説のカバーイラストを手がけている。名前は知らなくてもイラストを目にしたことがある人は多いはず。
生徒が描いたイラストを添削し、手直しする形でイラストを良くする方法を説明している。その説明は非常に分かりやすく、説得力がある。それでいてプロでなくても真似することができる簡単なものばかりだ。

イラストを良くするための「根本的な考え方」を、そしてイラストの奥深さを分かりやすく学ぶことができる本。


【ここがすごい】
プロによる描き方講座、といっても必ず役に立つものとは限りません。プロの超絶技術を紹介されても、「そんなの素人には真似できないよ」となってしまうのがオチだからです。
この本は違います。手直しをするといっても、プロの超絶技術で描き直しているわけではありません。そこで語られているのは「技術」ではなく「考え方」です。

「良いイラストとはどんなものか?」
「色使いで気を付けることは?」
「伝えたいことを、見る人に伝えるにはどうすればよいか?」
「ずっと眺めていたくなるイラストとはどんなものか?」

中村さんはそれを教えてくれます。
生徒のイラストに足りていない「考え方」を、中村さん自身の作品などと比較しながら教えてくれます。比較対象はそれだけではありません。海外の有名なアート作品、ファッション雑誌の表紙の構成、ゴレンジャーのカラーリング、アンパンマンやノンタンなどの絵本と、幅広いものを例に出して説明してくれます。僕は以前「分析では他作品との比較が大事(コラム 第7回)」ということを書きましたが、まさに比較によって分かりやすく、説得力のある解説をしてくれているのです。
たいていの描き方講座の本では「こういう場合はこう描きます」ということだけ示されて終わりです。いろんなものと比較しているという点は、この本にしかない大きな特徴と言えるでしょう。描き方が分かるだけでなく、比較元の作品の良いところを学ぶこともできるという意味でも、イラストの良い勉強になります。

たくさんの例によって絵を良くするための「考え方」を教えてくれた上で、その考え方に沿って生徒のイラストを手直ししていきます。その手直しも少し色を変えたり、モチーフを2、3個描き足すなどの簡単なものです。プロの技術がなくても、考え方が分かれば誰でもできます。
もっとも言われた通りに直すことはできても、その考え方に沿ったイラストを自力で描けるか、となると話は別です。イラストを良くするための根本的な考え方とは、言い換えるなら「極意」です。極意は教わってすぐに体現できるようなものではありません。当たり前ですが修行が必要になります。

道のりは厳しいですが、この本を読んだ後だとがんばろうと思えます。作者の中村さんの、絵が上手くなりたい人を心から応援したいという気持ちが、はっきりと伝わってくるからです。
絵の悩みを持つ人の気持ちに優しく寄り添い、ときにはプロ目線の厳しいことも言ってくれる。中村さんは『みんなのイラスト教室』という本のタイトルにふさわしい素敵な先生でした。

良い先生に出会えると、その科目まで好きになることがあります。
今まで以上にイラストが上手になりたい。自分が描きたいものを描けるようにもっとがんばりたい。『みんなのイラスト教室』で中村先生の授業を受けて、僕はそう思いました。

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