TOPに戻る
前のページ  次のページ

書籍紹介『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』



犬塚 美輪
『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』
笠間書院 2020年

お役立ち度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
対象者:何かを学びたい人、物語を深く読み取りたい人
【概要】
読解力は、創作者に必須のスキルだ。本を読んで知識を得るにも、マンガや小説を読んで面白さを味わうにも、読解力は欠かせない。
そんな読解力を伸ばす方法を教えてくれる本。のみならず、「賢さ」の正体にも迫ることができる。


【ここがすごい】
読解力って大事ですよね。
コラム第13回「教本の使い方、買い方」にて、「ちゃんと読むことが大事」と書きました。当たり前なことのようで、これがなかなか難しいです。著者の意図を正しく読み取ることは、ある程度練習しないとできません。
難しい本なんて読まずに、マンガや小説を読むときにも読解力が大事です。物語の中で起こっていることや、キャラの心情を読み解くために読解力は欠かせません。そういう意味では、読むものではなく視聴するものである映画やアニメでも、読解力は大事ですね。
「自分が正しく読めていない」と自覚できているならまだマシです。中にはそうした自覚がなく、「この作者はなぜこんな変なことを描くんだ」とプリプリしてストレスをためたり、作者を叩いちゃう人もいます。読解力は大事です。

そんな読解力ですが、どうすれば鍛えられるのか知っている人はあまりいません。学校の国語の授業でいろんなお話を読んできましたが、それで読解力が上がったと実感できた人は少ないのではないでしょうか。

この本では読解力の鍛え方が分かりやすく書かれています。タイトルに「14歳からの」と書かれているように、中学生でも読める内容です。
本の中で扱われているテーマも「最近はYouTubeでたいていのことが分かりやすく解説されてる。読解力なんて要らないんじゃないの?」、「歴史マンガで学習するのはダメ?」などと、とっつきやすく興味を引かれるものになっています。

その上で。この本では「ただ本を読めるようになればいい」なんていう限定的な目標を掲げてはいません。
難しい本を読める人って、賢そうですよね。でも「賢い」という状態は、ただ読解力が高いだけではありません。たくさんの知識をもっていたり、記憶力がよかったり、ものごとを俯瞰して見ること(メタ認知)ができたりします。
この本では読解力について考えることを通して、知識の大事さ、記憶の仕組み、メタ認知にも触れていきます。この本を読めば、読解力という一つの能力だけが向上するのではなく、総合的に賢い人に近づけるでしょう。

…とは言っても、この本を読めばすぐに読解力がメキメキと鍛えられ、バツグンに賢くなったりはしません。
読解力は地道に鍛えていくものなので即効性はありません。この本を読んでも自分が成長した実感を得られるのは先のことになるでしょう。
そんな理由でお役立ち度は星四つにしました。しかしそれはこの本が悪いわけではありません。読解力を鍛えることは、それだけ難しいという話です。

過剰に期待されないよう星四つにしましたが、文句なくおすすめの本です。興味を持たれた方はぜひお読みください。

アマゾンの購入ページ
(非アフィリエイトリンク)
このリンクを踏んでも竹トンボに収益は発生しません。

前のページ   次のページ
TOPに戻る