【コラム】第9回「読者がコメントする条件とは」
新都社で連載をしていると、「どれだけコメントをもらえるか」というのは、気にせずにはいられないテーマでしょう。
もちろんコメント数が作品のすべてではありません。コメントが少なくても素晴らしい作品はたくさんあります。コメントの数を気にしすぎるあまり、マンガを描くことが楽しくなくなることもあるかもしれません。コメントのことを考えるヒマがあれば、マンガを面白くする方法を考えるべきなのかもしれません。
コメントの数なんて気にせずにマンガを描けた方が、作者も読者も幸せになるケースは多いでしょう。
それでもやはり、気にせずにはいられない人も多いでしょう。そんな人には「気にするな」と助言するより、一緒にコメントをたくさんもらう方法を考える方が力になれるような気もします。
また、コメントは要らないとしても、「自分の作品を多くの人に読んでもらいたい」、「できることなら多くの人に楽しんでもらえる作品を描きたい」と思っている人は多いはずです。コメントを増やす方法を考えることで、多くの人を楽しませる作品の描き方に気付けるかもしれません。
コメントを増やす方法についての僕の考えをお話ししますが、コメントがすべてではないと僕は思っています。
「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というスタンスでお話ししていこうと思います。
作品の質より何よりも、コメントをたくさん稼ぐことだけを至上命題として活動するのも、それそれで突き抜けていてすごいと思うんですけどね。でもこのコラムはそういうスタンスではないとご理解ください。
コメントに関することはとても奥が深いテーマなので、一度にすべてをお話しすることはできません。
今回は「具体的に何をすればよいか」をお話しする前の準備として、「どういう条件を満たせばコメントをもらえるか」ということをお話ししていきます。
【成長せずにコメントを増やせるか?】
コメントを増やすにはどうすればよいか。
新都社編集部でもよく見られる話題で、さまざまな案が出てきます。
読もうと思えるタイトルが大事、魅力的なキャラを出す、読者が考察コメントをしたくなる話を描く、見やすい絵を描く、などなど…。
まことしやかにいろいろな方法が語られています。
たしかにそうした方法をとれば、コメントをもらいやすい気はします。しかし、そうした方法を実際に自分がとったところを想像してみましょう。そのときに、「この方法を使えば自分もコメントが増えそうだ!」と思えるでしょうか?
良いタイトルを思いつけるようにがんばる。魅力的なキャラを描けるようにがんばる。エログロを描けるようにがんばる…。
「そうやってがんばれば、コメントはきっと増える!」と、胸を張って思えるでしょうか?
あまりそのようなイメージは湧かない、という人が多いのではないでしょうか。
良いタイトルを思いつけるようがんばると言っても、何をどうがんばったらいいやら分かりません。そんな状態では「がんばれば良いタイトルを思いつける」とは思えず、コメントが増えるという期待も持てません。
キャラや話、絵の描き方を変えるというのも、それができるんならとっくに人気作家になっています。「魅力的なキャラを出そう」などと言うのは、「神作家になろう」と言っているのと変わりません。コメントを増やすための作戦ではなく、そうなりたいという願望でしかありません。願望にすがったところで「これならコメントが増える!」とは思えないでしょう。
結局のところ、たいていの「コメントを増やす方法」は、作者が大きく成長することを前提としています。
「今のお前にはコメントを増やすなんて無理だから、タイトルのセンスやキャラづくりの能力、話を考える頭や画力を鍛えてこい」というものなのです。
しかし「コメントを増やす方法を知りたい!」というとき、聞きたいのは「実力を鍛えろ」というお説教ではないでしょう。
自分の能力を成長させずにコメントを増やす方法はないものでしょうか?
このコラムを書く上での僕の基本的なスタンスは、「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というものです。本当は「実力を鍛えてコメントを増やせ」と言いたい立場なのです。
しかしながら、僕自身、「能力を成長させずにコメント数を増やす」と言えるようなことをしています。
ですので、「自分の能力を成長させずにコメントを増やす方法はあるか」という質問に、僕は「ある」と答えます。
ただしそれを狙ってやれるかというと難しいかもしれません。細かいことは後々お話しするとして、僕の経験をお話しします。
【公開!『勇者と伝説の「ギ」』コメント数】
上に表示しているのは、僕が連載している勇者と伝説の「ギ」の、コメント数の推移です。
横軸で「A1」となっているのは「第2章 1話」を表します。
このグラフを見る上で、いくつか注意点があります。
本編だけでなく番外編も同時に更新していて、その分コメントが増えている回があったりします。連載開始から最新話までの間に4年以上経っているので、その間に新都社の利用者が減っているという話もあり、昔の方がコメントをもらいやすかったと言えるでしょう。
このグラフだけからは論じ切れない部分もあるのですが、大ざっぱなデータとしては使えるでしょう。
こうしてみると、コメントの数には大きなバラつきがあると分かります。連載の最初と最後など時期が離れているところで比較すると「新都社の読者が減った」「竹トンボの能力が成長した」といった要因が考えられますが、同じ時期に更新した回でもコメント数には大きな変化が見られます。
連載開始から第3章 6話までは週1回の定期更新でしたが、コメント数は16〜41と大きな変動があります。毎週僕の能力が上がったり下がったりしているわけではないと思うので、これは僕の能力以外の要因でコメントが増えたり減ったりしていると考えられます。
つまり、「同じ時期で、能力が成長したわけでもないのに、コメントが増えた」という現象が、現実に起きているのです。
【コメントをもらうための条件とは?】
それでは、どうすればコメントをたくさんもらうことができるのでしょうか?
それを考える上で避けられないのが、「新都社には絵も上手いし話も面白いのに、なぜかコメントの数が少ない作品が多数存在する」という問題です。
逆に「絵は雑、話もテキトーでくだらないクソマンガ」の方がたくさんコメントをもらっているという現象を、新都社民なら幾度となく目にしているはずです。なぜそんなことが起きるのでしょうか?
この現象を素直に受け止めるのなら、コメント数を決定づける一番大きな要素は、「絵の上手さ」や「話の面白さ」ではないということになります。
誤解のないように言っておくと、「絵が上手くてもしょうがない。練習しても無駄」という話ではありません。普通に考えれば、絵が上手い方がコメントは多くなる気がします。
では、「絵が上手いマンガはたくさんコメントをもらえる」というのは、どういう理屈なのでしょうか? 「そんなの当たり前だろ」と片付けずに掘り下げて考えてみましょう。そうすると、コメント数を決定づける一番大きな要素が何なのかが見えてきます。
【印象を残せ】
結論を言うと、コメント数を決定づける一番大きな要素は「印象に残るかどうか」だと僕は考えています。
マンガを読み終わった後、読者の心の中に残っているもの。印象に残っていることを、読者はコメントに描くのです。
絵が上手いマンガは、印象に残る絵だからコメントをもらえるのです。
「この絵、かっこいい!すごい!」マンガを読み終えた後もそういう気持ちが消えず、印象に残っているからこそコメントに描けるのです。
話も同様で、面白くて印象に残るからこそコメントに書けます。読んでるときは面白かったけど、読み終わるとどこがよかったか思い出せないようなぼんやりした話だと、読者はコメントすることがありません。
一方、「絵は雑で話もテキトーでくだらないけど、勢いだけはあるクソマンガ」は、読者の印象に残りやすいです。結果、クソマンガの方がコメントを多くもらうという現象が起きるのです。
(「マジメにマンガ描くよりクソマンガの方がコメントをもらえる」となるとやる気がなくなるかもしれませんが、そう単純でもありません。コメントをたくさんもらえるクソマンガを、狙って描くのはかなり難しいです。むしろ「コメント0個 上等だ!」っつって描きたいもの描いてるようなクソマンガの方が、結果的にコメントを多くもらうことになると思います。少なくとも僕はそういうクソマンガの方が好き)
読者が読むマンガを決めるときも、タイトルを見て印象に残ったものを見ます。覚えてもらえないタイトルだと次に更新したときに読んでもらえません。自分のマンガを多くの人に読んでもらうためには、印象に残るタイトルを考える必要があります。
コメントをもらうための条件は絵の上手さや話の面白さではなく、「印象に残ること」だと僕は考えています。
「絵や話づくりを上手くなろう」と言っても何をどう良くすればいいかが分かりません。「印象に残る絵を描く」、「印象に残る話をつくる」と考えれば、少しは目指すべき方向が見えてくると思います。
ただし、印象に残ろうとすると、インパクト重視で奇をてらったものをつくればよいと思っていまいがちです。それも一つの手ですが、奇をてらわないと印象に残らないというわけではありません。詳しくは別の機会にお話しします。
【「ギ」は印象に残る】
「印象に残ることが大事」ということを踏まえて、「ギ」でコメントが多かった回を見てみましょう。
まずは連載開始の第1話から3回はコメントが多くなっています。これはいわゆる「初回ブースト」というやつで、新連載をとりあえずチェックしてくれる新都社民がたくさん見てくださったおかげでしょう。「新連載」ということ自体が読者に「とりあえず読んでみよう」と思わせるだけの強い印象を与えるのです。
そうして多くの人に見てもらえただけでなく、第1話の出来も良かったと今になってみると思います。
「ギ」は設定だけでインパクトがあり、かつシンプルで分かりやすいので、初見だとかなり印象に残りやすいと思います。
他にも印象に残るポイントがあったり、マンガ以外のところでも読者獲得のための工夫を凝らしていたのですが、詳しくは別の機会でお話しする予定です。
その後、初回ブーストも落ち着きコメントの数は落ち着きます。
第2章 5話でコメントが増えますが、これは本編の内容と連動したおまけマンガの影響が大きいでしょう。「今回の展開、コメントで先に予想されてたー!」というマンガを描いたのが好評でした。このときに初めて僕の自画像が出てくるマンガを披露したので、それも印象に残ったのかもしれません。作者へのセクハラコメントもいただきました。
そうした理由でコメントが増えたものもありますが、本編の内容が良かったのでコメントが増えたと言えるケースもあります。第4章 1話と第4章 3話がそれです。
これらの回で久しぶりに30コメントをいただき、その後は1度も30に届いていません。実際にこれらの回を読んでいただければ、インパクトがあって印象に残りやすいことは納得していただけると思います。これらの回のコメントが多いということからも、「面白いだけじゃなくて印象に残ることが大事」と言えるでしょう。
(描いてるときはそこまで考えてなかったので、予想外に好評でビックリしました。第4章 3話に至っては我ながらムチャクチャな発想だと思うので、「なんやねんコレ」と叩かれる覚悟までしてたんですが)
そのようにコメントをたくさんいただける回を描けたこともありますが、その回を描くときに僕の能力が急に成長したわけではないでしょう。
作者が成長しなくても、「印象に残る」という条件を満たしてコメントが増えるということはありえる話なのです。
【どうやってコメントを増やす?】
印象に残りさえすれば、コメントは増えるとして、どうすれば読者の印象に残るマンガを描けるのでしょうか?
読者の印象に残る話や絵、ギャグをつくるのは簡単ではなさそうです。狙ってそれをやるには、作者が成長しないと難しいでしょう。
どうにか作者が成長せずにコメントを増やす方法はないものか。考えた結果、一つだけ思いつきました。
「原稿を描き貯めて定期更新する」というのがその答えです。
それがなぜコメントを増やすことにつながるか、その方法をとるときの注意点など、詳しいことは別の回でお話ししようと思います。
あとは読者に興味をもってもらうためにはタイトルも大事です。タイトルについてもお話しできたらと思っています。
また、「印象に残る絵や話をつくるにはどうするか」ということもお話ししていこうと思います。
本当はこの話の方をメインにやっていきたいんですけどね。僕の基本的なスタンスが「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というものなので。
【なぜコメントにこだわるのか】
繰り返しになりますが、コメントの数はあまり気にしすぎない方が良いと思います。
しかしコメントの数やコメントの内容を通して、自分のマンガについて知ることができます。コメントを増やすために試行錯誤する中で、自分のマンガのことがそれまで以上に好きになることもあるでしょう。
みなさんがコメントのせいでマンガを描くことを嫌いになるのではなく、コメントについて考えることも含めて、マンガを描くことを楽しむことができたらいいな、と僕は思っています。
お互いマンガライフを楽しんでいきましょう。
それでは今回はこのへんで。
もちろんコメント数が作品のすべてではありません。コメントが少なくても素晴らしい作品はたくさんあります。コメントの数を気にしすぎるあまり、マンガを描くことが楽しくなくなることもあるかもしれません。コメントのことを考えるヒマがあれば、マンガを面白くする方法を考えるべきなのかもしれません。
コメントの数なんて気にせずにマンガを描けた方が、作者も読者も幸せになるケースは多いでしょう。
それでもやはり、気にせずにはいられない人も多いでしょう。そんな人には「気にするな」と助言するより、一緒にコメントをたくさんもらう方法を考える方が力になれるような気もします。
また、コメントは要らないとしても、「自分の作品を多くの人に読んでもらいたい」、「できることなら多くの人に楽しんでもらえる作品を描きたい」と思っている人は多いはずです。コメントを増やす方法を考えることで、多くの人を楽しませる作品の描き方に気付けるかもしれません。
コメントを増やす方法についての僕の考えをお話ししますが、コメントがすべてではないと僕は思っています。
「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というスタンスでお話ししていこうと思います。
作品の質より何よりも、コメントをたくさん稼ぐことだけを至上命題として活動するのも、それそれで突き抜けていてすごいと思うんですけどね。でもこのコラムはそういうスタンスではないとご理解ください。
コメントに関することはとても奥が深いテーマなので、一度にすべてをお話しすることはできません。
今回は「具体的に何をすればよいか」をお話しする前の準備として、「どういう条件を満たせばコメントをもらえるか」ということをお話ししていきます。
【成長せずにコメントを増やせるか?】
コメントを増やすにはどうすればよいか。
新都社編集部でもよく見られる話題で、さまざまな案が出てきます。
読もうと思えるタイトルが大事、魅力的なキャラを出す、読者が考察コメントをしたくなる話を描く、見やすい絵を描く、などなど…。
まことしやかにいろいろな方法が語られています。
たしかにそうした方法をとれば、コメントをもらいやすい気はします。しかし、そうした方法を実際に自分がとったところを想像してみましょう。そのときに、「この方法を使えば自分もコメントが増えそうだ!」と思えるでしょうか?
良いタイトルを思いつけるようにがんばる。魅力的なキャラを描けるようにがんばる。エログロを描けるようにがんばる…。
「そうやってがんばれば、コメントはきっと増える!」と、胸を張って思えるでしょうか?
あまりそのようなイメージは湧かない、という人が多いのではないでしょうか。
良いタイトルを思いつけるようがんばると言っても、何をどうがんばったらいいやら分かりません。そんな状態では「がんばれば良いタイトルを思いつける」とは思えず、コメントが増えるという期待も持てません。
キャラや話、絵の描き方を変えるというのも、それができるんならとっくに人気作家になっています。「魅力的なキャラを出そう」などと言うのは、「神作家になろう」と言っているのと変わりません。コメントを増やすための作戦ではなく、そうなりたいという願望でしかありません。願望にすがったところで「これならコメントが増える!」とは思えないでしょう。
結局のところ、たいていの「コメントを増やす方法」は、作者が大きく成長することを前提としています。
「今のお前にはコメントを増やすなんて無理だから、タイトルのセンスやキャラづくりの能力、話を考える頭や画力を鍛えてこい」というものなのです。
しかし「コメントを増やす方法を知りたい!」というとき、聞きたいのは「実力を鍛えろ」というお説教ではないでしょう。
自分の能力を成長させずにコメントを増やす方法はないものでしょうか?
このコラムを書く上での僕の基本的なスタンスは、「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というものです。本当は「実力を鍛えてコメントを増やせ」と言いたい立場なのです。
しかしながら、僕自身、「能力を成長させずにコメント数を増やす」と言えるようなことをしています。
ですので、「自分の能力を成長させずにコメントを増やす方法はあるか」という質問に、僕は「ある」と答えます。
ただしそれを狙ってやれるかというと難しいかもしれません。細かいことは後々お話しするとして、僕の経験をお話しします。
【公開!『勇者と伝説の「ギ」』コメント数】
上に表示しているのは、僕が連載している勇者と伝説の「ギ」の、コメント数の推移です。
横軸で「A1」となっているのは「第2章 1話」を表します。
このグラフを見る上で、いくつか注意点があります。
本編だけでなく番外編も同時に更新していて、その分コメントが増えている回があったりします。連載開始から最新話までの間に4年以上経っているので、その間に新都社の利用者が減っているという話もあり、昔の方がコメントをもらいやすかったと言えるでしょう。
このグラフだけからは論じ切れない部分もあるのですが、大ざっぱなデータとしては使えるでしょう。
こうしてみると、コメントの数には大きなバラつきがあると分かります。連載の最初と最後など時期が離れているところで比較すると「新都社の読者が減った」「竹トンボの能力が成長した」といった要因が考えられますが、同じ時期に更新した回でもコメント数には大きな変化が見られます。
連載開始から第3章 6話までは週1回の定期更新でしたが、コメント数は16〜41と大きな変動があります。毎週僕の能力が上がったり下がったりしているわけではないと思うので、これは僕の能力以外の要因でコメントが増えたり減ったりしていると考えられます。
つまり、「同じ時期で、能力が成長したわけでもないのに、コメントが増えた」という現象が、現実に起きているのです。
【コメントをもらうための条件とは?】
それでは、どうすればコメントをたくさんもらうことができるのでしょうか?
それを考える上で避けられないのが、「新都社には絵も上手いし話も面白いのに、なぜかコメントの数が少ない作品が多数存在する」という問題です。
逆に「絵は雑、話もテキトーでくだらないクソマンガ」の方がたくさんコメントをもらっているという現象を、新都社民なら幾度となく目にしているはずです。なぜそんなことが起きるのでしょうか?
この現象を素直に受け止めるのなら、コメント数を決定づける一番大きな要素は、「絵の上手さ」や「話の面白さ」ではないということになります。
誤解のないように言っておくと、「絵が上手くてもしょうがない。練習しても無駄」という話ではありません。普通に考えれば、絵が上手い方がコメントは多くなる気がします。
では、「絵が上手いマンガはたくさんコメントをもらえる」というのは、どういう理屈なのでしょうか? 「そんなの当たり前だろ」と片付けずに掘り下げて考えてみましょう。そうすると、コメント数を決定づける一番大きな要素が何なのかが見えてきます。
【印象を残せ】
結論を言うと、コメント数を決定づける一番大きな要素は「印象に残るかどうか」だと僕は考えています。
マンガを読み終わった後、読者の心の中に残っているもの。印象に残っていることを、読者はコメントに描くのです。
絵が上手いマンガは、印象に残る絵だからコメントをもらえるのです。
「この絵、かっこいい!すごい!」マンガを読み終えた後もそういう気持ちが消えず、印象に残っているからこそコメントに描けるのです。
話も同様で、面白くて印象に残るからこそコメントに書けます。読んでるときは面白かったけど、読み終わるとどこがよかったか思い出せないようなぼんやりした話だと、読者はコメントすることがありません。
一方、「絵は雑で話もテキトーでくだらないけど、勢いだけはあるクソマンガ」は、読者の印象に残りやすいです。結果、クソマンガの方がコメントを多くもらうという現象が起きるのです。
(「マジメにマンガ描くよりクソマンガの方がコメントをもらえる」となるとやる気がなくなるかもしれませんが、そう単純でもありません。コメントをたくさんもらえるクソマンガを、狙って描くのはかなり難しいです。むしろ「コメント0個 上等だ!」っつって描きたいもの描いてるようなクソマンガの方が、結果的にコメントを多くもらうことになると思います。少なくとも僕はそういうクソマンガの方が好き)
読者が読むマンガを決めるときも、タイトルを見て印象に残ったものを見ます。覚えてもらえないタイトルだと次に更新したときに読んでもらえません。自分のマンガを多くの人に読んでもらうためには、印象に残るタイトルを考える必要があります。
コメントをもらうための条件は絵の上手さや話の面白さではなく、「印象に残ること」だと僕は考えています。
「絵や話づくりを上手くなろう」と言っても何をどう良くすればいいかが分かりません。「印象に残る絵を描く」、「印象に残る話をつくる」と考えれば、少しは目指すべき方向が見えてくると思います。
ただし、印象に残ろうとすると、インパクト重視で奇をてらったものをつくればよいと思っていまいがちです。それも一つの手ですが、奇をてらわないと印象に残らないというわけではありません。詳しくは別の機会にお話しします。
【「ギ」は印象に残る】
「印象に残ることが大事」ということを踏まえて、「ギ」でコメントが多かった回を見てみましょう。
まずは連載開始の第1話から3回はコメントが多くなっています。これはいわゆる「初回ブースト」というやつで、新連載をとりあえずチェックしてくれる新都社民がたくさん見てくださったおかげでしょう。「新連載」ということ自体が読者に「とりあえず読んでみよう」と思わせるだけの強い印象を与えるのです。
そうして多くの人に見てもらえただけでなく、第1話の出来も良かったと今になってみると思います。
「ギ」は設定だけでインパクトがあり、かつシンプルで分かりやすいので、初見だとかなり印象に残りやすいと思います。
他にも印象に残るポイントがあったり、マンガ以外のところでも読者獲得のための工夫を凝らしていたのですが、詳しくは別の機会でお話しする予定です。
その後、初回ブーストも落ち着きコメントの数は落ち着きます。
第2章 5話でコメントが増えますが、これは本編の内容と連動したおまけマンガの影響が大きいでしょう。「今回の展開、コメントで先に予想されてたー!」というマンガを描いたのが好評でした。このときに初めて僕の自画像が出てくるマンガを披露したので、それも印象に残ったのかもしれません。作者へのセクハラコメントもいただきました。
そうした理由でコメントが増えたものもありますが、本編の内容が良かったのでコメントが増えたと言えるケースもあります。第4章 1話と第4章 3話がそれです。
これらの回で久しぶりに30コメントをいただき、その後は1度も30に届いていません。実際にこれらの回を読んでいただければ、インパクトがあって印象に残りやすいことは納得していただけると思います。これらの回のコメントが多いということからも、「面白いだけじゃなくて印象に残ることが大事」と言えるでしょう。
(描いてるときはそこまで考えてなかったので、予想外に好評でビックリしました。第4章 3話に至っては我ながらムチャクチャな発想だと思うので、「なんやねんコレ」と叩かれる覚悟までしてたんですが)
そのようにコメントをたくさんいただける回を描けたこともありますが、その回を描くときに僕の能力が急に成長したわけではないでしょう。
作者が成長しなくても、「印象に残る」という条件を満たしてコメントが増えるということはありえる話なのです。
【どうやってコメントを増やす?】
印象に残りさえすれば、コメントは増えるとして、どうすれば読者の印象に残るマンガを描けるのでしょうか?
読者の印象に残る話や絵、ギャグをつくるのは簡単ではなさそうです。狙ってそれをやるには、作者が成長しないと難しいでしょう。
どうにか作者が成長せずにコメントを増やす方法はないものか。考えた結果、一つだけ思いつきました。
「原稿を描き貯めて定期更新する」というのがその答えです。
それがなぜコメントを増やすことにつながるか、その方法をとるときの注意点など、詳しいことは別の回でお話ししようと思います。
あとは読者に興味をもってもらうためにはタイトルも大事です。タイトルについてもお話しできたらと思っています。
また、「印象に残る絵や話をつくるにはどうするか」ということもお話ししていこうと思います。
本当はこの話の方をメインにやっていきたいんですけどね。僕の基本的なスタンスが「コメントを増やす方法を考えることで、読者を喜ばせるマンガを描くヒントを探ろう」というものなので。
【なぜコメントにこだわるのか】
繰り返しになりますが、コメントの数はあまり気にしすぎない方が良いと思います。
しかしコメントの数やコメントの内容を通して、自分のマンガについて知ることができます。コメントを増やすために試行錯誤する中で、自分のマンガのことがそれまで以上に好きになることもあるでしょう。
みなさんがコメントのせいでマンガを描くことを嫌いになるのではなく、コメントについて考えることも含めて、マンガを描くことを楽しむことができたらいいな、と僕は思っています。
お互いマンガライフを楽しんでいきましょう。
それでは今回はこのへんで。